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アセッサージャーナル31号

「経営品質アセッサージャーナル31号」販売中!


今回は、2024年3月に開催された顧客価値経営フォーラム会場で、日本経営品質賞受賞組織や
経営デザイン認証組織の方々にお声がけして執筆いただきました。
下記に、表紙及び目次を掲示しました。 ここでは、2023年度日本経営品質賞を受賞した
西精工株式会社様の受賞理由並びに掲載内容の一部をご紹介します。

公益財団法人日本生産性本部のプレスリリースからの引用になりますが、受賞理由のひとつを紹介します。

【全19チームによるチームビジョンの策定と実践】
管理間接部門も含む各工程・部署全19チーム(係)が全社ビジョン実現に向けたチームビジョンを
2019年に策定し、チームビジョンの実践を通じた各工程の磨き上げを行っている。
各チームが今年100周年を迎えた同社の歴史を振り返り、自分たちの強みを洗い出して
チームビジョンを定め、実現に向けた成功のシナリオを作成した。
 (中略) 
このチームビジョンをもとに、各チームが毎期の経営方針を踏まえてチーム目標を設定し、
それを個人目標へと落とし込むことで、全社ビジョンからチームビジョン、個人目標へ整合性と
一貫性をもって結びつけている。そして、チームビジョンの実践状況や成果を、経営トップ主導で
半期ごとに開催する「係別面接」で報告し、評価を行っている。通常だと全社単位で取り組む
こうした活動を、全てのチームで取り組んだことは称賛に値する。
チームビジョンの実践状況や成果を、経営トップ主導で半期ごとに開催する「係別面接」で報告し、
評価を行っている。
 (以下略)

以下は、寄稿内容の一部です。

 【社員全員がありたい姿に向かうために】
(略)
10年前の受賞時と今回で大きく変化したのは「ありたい姿」がより明確になり、チームや個人に
展開しやすくなった事です。
(中略)
前回受賞時の審査チームからのフィードバックに「中期ビジョンをもとに、策定した業務目標を
達成していくという認識はあるものの、経営幹部から社員まで、どの層においても経営ビジョン
といった組織の目ざす姿の実現に貢献しているか、実感をもてていない様子が若干見受けられた。
経営幹部がビジョン達成のための目標や達成のための道筋に関して再度話し合い、その内容を
各部門の社員やビジネスパートナーに伝え、浸透させることを提案します」と提言がありました。
(中略)
そこで、全社員の毎日の仕事がファインパーツに繋がるようにチームごとに「ありたい姿」
(チームビジョン)を作成するようにしました。
(中略)
ここで、19あるチームの一つ「生産技術係」のチームビジョンから課題達成のプロセスまでをご紹介します。

以下は、その後の章見出しです。
 生産技術係のチームビジョン
 生産技術係の歴史を振り返る
 生産技術係の伸ばす技術
 生産技術係のありたい姿
 生産技術係の現状
 生産技術係の横たわる問題
 生産技術係の課題
 生産技術係の課題を達成するためのプロセス
 イベントのようにキャチフレーズやタイトルをつけて展開する
 腹おちさせるためにロジカルに対話をくり返す
 会社のありたいと自分のありたいを重ねる
 全部署が未来に向かう道筋=THE WAY TO FP70
 2つのありたい姿
 毎日1時間のフィロソフィ朝礼の前に準備したもの

今回も経営品質協議会(JQAC)のご厚意で、下記のJQAC販売サイトで電子書籍として販売いたします。
下記をクリックしてご購入ください。

https://shop.deliveru.jp/category-2/ivfsmuib/

上記とは別に、大変わずかですが、製本したアセッサージャーナル第31号があります。
在庫分のみになりますが、下記のメールアドレスに、お名前、送り先、メールアドレス、冊数(1,000円/冊)を
記載の上、ご連絡ください。
jqaa-aj31※googlegroups.com
(注記:※を@に置き換えてメールアドレスにして下さい)

送料はご負担いただきますが、3冊までであれば、送料は185円(クリックポスト)、
5冊まであれば、370円(レターパック)となります。
支払いは、銀行振込、クレジットカード払いになります。
以上

【一般のご購入は右サイトからお願いします】 → ご購入用のサイト  
アセッサージャーナル31号 

【目次】

アセッサージャーナル第31号 目次

■Front of View
経営品質アセッサーフォーラム理事長
「経営品質&人」との出会いが活力源 道添 順一

■特別寄稿
MPC代表取締役・JQAA顧問
古い変革・新しい変革 岡本 正耿
株式会社第一生命経済研究所研究理事・実践推進者コース 講師・JQAA副理事長
「顧客価値経営 実践推進者コース」を振り返って 北井 優康

■「顧客価値経営フォーラム2024」レポート
コアクリエイト代表・JQAA理事
「ありたい姿」の重要性・意義、策定についてのヒント 田原 浩

■日本経営品質賞受賞組織の取り組み
新日本ビルサービス株式会社 代表取締役社長
受賞理由(公益財団法人日本生産性本部のプレスリリースから)
「ファシリティに集う人々が愛と笑顔に包まれた躍動する世界の実現」関根 一成
西精工株式会社 代表取締役社長
受賞理由(公益財団法人日本生産性本部のプレスリリースから)
組織で大切にしたいたった二つのこと 西  泰宏

■経営デザイン認証組織の取り組み
経営品質協議会ディレクター
「経営の設計図」を描くことで組織がバージョンアップされる理由 加藤八十司
株式会社ローラン 代表取締役社長
「経営の設計図」による思考限界の突破 羽石 和樹
株式会社ブレインマークス 代表取締役
「事業戦略」と「仕組みを運用する仕組み」の見直し 安東 邦彦
浜理薬品工業株式会社 生産統括本部長
第二の変革期に向けて 濱松 克仁

■各地域の経営品質協議会の取り組み
鹿児島(二宮直光)、福井(野坂典央)、埼玉(田原 浩)、茨城(三宅邦之)
座談会:今後の地域協議会の発展を考える
鹿児島ケース株式会社 代表取締役社長
鹿児島ケースと経営品質について 居迫 伸孝
埼玉県経営品質協議会運営委員長
「対話」 いかにマネジメントに対話を根付かせるか 髙橋  清

■日本経営品質学会の取り組み
日本経営品質学会 会長
日本経営品質学会の取り組みと若干の考察―DXと組織― 渡辺  昇

■経営品質アセッサーフォーラムのページ
経営品質アセッサーフォーラム(JQAA)について 道添 順一
2023年度JQAAイベントを振り返って 加藤 友成
JQAA理事の近況・あとがき
バックナンバー27号・28号・29・30号 目次
JQAA運営委員募集 ・ 経営品質協議会 会員募集



JQAセルフアセッサー交流会・第6回Web分科会(無料)

<動物病院 新たな経営革新への挑戦>

2023年度日本経営品質賞推進賞・受賞企業

(2024年7月30日開催) <Web申込受付開始>

主催:経営品質アセッサーフォーラム  協賛:経営品質協議会

 
このイベントは終了しました。


【2024年度総会を実施しました】

下記の通りJQAA総会を実施しました。
1.開催日時
 5月8日(水)19時~20時30分
2.開催方法
 zoomによるリモート開催
3.スケジュール
1)総会(19時~19時30分)
1号議案:2023年度活動および収支報告の承認
2号議案:2024年度活動計画の承認
3号議案:役員の選任
2)意見交換会(19時30分~20時30分)
以上
総会に関する資料はこちらから ➡ 総会資料


アセッサージャーナル30号

アセッサージャーナル29号の販売を開始します。
【ご購入は右サイトからお願いします】 → ご購入用のサイト
【紹介】
アセッサージャーナル第30号の特徴
前号第29号に引き続き、顧客価値ガイドラインへの改訂の背景やポイントを深堀すべく、関係者に多くを語って頂きました。
また、日本経営品質賞と経営デザイン認証との親和性についても推進者の立場、取り組んでいる企業の立場から寄稿頂いています。
実際に顧客価値経営を推進、支援する方々に有益な情報をお届けできたと自負しています。手に取って参考にして頂ければ、望外の喜びです。

【目次】
アセッサージャーナル第30号 目次
■Front of View 
東京大学大学院 教授/日本経営品質賞判定委員会委員長
JQA表彰推薦理由の変遷について    高橋 伸夫

■特別寄稿
MPC代表取締役・JQAA顧問
組織能力のアセスメント        岡本 正耿

■特集 顧客価値経営ガイドライン
経営品質協議会事務局長 顧客価値経営ガイドラインの発行について 柳本 直行
Web懇談会:顧客価値経営ガイドライン               JQAA講演部
座談会:顧客価値経営ガイドラインを紐解く            顧客価値実践クラブ

■日本経営品質賞受賞組織の取り組み
2022年度日本経営品質賞受賞組織とこれまでの受賞組織

楽天コミュニケーションズ株式会社
Quality Journey -経営品質向上の終わりなき旅-   中丸 博禎

ヤマヒロ株式会社
企業に属するセルフアセッサーの皆さんへ       山口 寛士

■経営デザイン認証組織の取り組み
これからは「経営の設計図」が経営品質活動のメインストリームとなる 加藤八十司

株式会社スーパー・コート
10年後ヴィジョンの見直し〜経営デザイン認証への新たなチャレンジ〜 松浦 朋和
■地域経営品質協議会の取り組み
埼玉県経営品質協議会2022年度活動報告              髙橋 清

■日本経営品質学会の取り組み
日本経営品質学会(JAPE)のご案内とお誘い    渡辺  昇
経営品質と顧客価値創造 (論文要約版)     渡辺  昇

■経営品質アセッサーフォーラムのページ
経営品質アセッサーフォーラム(JQAA)について 道添 順一
JQAAイベント:新たなステージに向けて!    加藤 友成
JQAA理事の近況・あとがき
バックナンバー 26号・27号・28号・29号目次
JQAA運営委員募集 ・ 経営品質協議会 会員募集


アセッサージャーナル29号

アセッサージャーナル29号の販売を開始します。
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アセッサージャーナル第29号 目次
■Front of View 
認定セルフアセッサーが経営改革のリーダーとなることを期待
経営品質協議会代表/アサヒグループホールディングス株式会社特別顧問 泉谷 直木

■特別寄稿
変革に必要なのは創造力とストーリー思考
MPC代表取締役・JQAA顧問 岡本 正耿

「顧客価値経営ガイドライン」~「日本経営品質賞アセスメント基準書」改訂~
経営品質協議会 アセスメント基準書改訂ワーキング 髙橋  清

■日本経営品質賞受賞組織の取り組み
2021年度日本経営品質賞受賞組織とこれまでの受賞組織

弊社における経営革新の組織展開と組織活性化のストーリー
日鉄工材株式会社 玉巻 秀泰

石坂流経営とは “ホスピタリティ”で循環をデザインする
石坂産業株式会社 熊谷  豊

第三者評価による見える化と日本経営品質賞へのチャレンジ
株式会社オオクシ 大串 哲史

日本経営品質賞とセルフアセッサー
国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院 髙橋 剛司

■経営デザイン認証組織の取り組み
2021年度 経営デザイン認証~これからの経営設計図~ 髙橋 清

「神戸で一番おもしろい会社」を目指して〜経営品質の取り組みと経営デザイン認証〜
株式会社伍魚福(ごぎょふく) 山中 勧

■埼玉県経営品質協議会の取り組み
経営品質ファシリテーター養成講座 〜埼玉で挑戦していること〜       寺沢 俊哉
経営品質探究講座~地域協議会の連携を目指して~ 髙橋 清・石川 昌弘

■東京メトロポリタン経営品質協議会の取り組み
認識チェンジを促進させる学習環境のありかた〜経営デザインプログラムを通じて〜
渡辺 充彦

■日本経営品質学会の取り組み
日本経営品質学会(JAPE)のご案内とお誘い 渡辺 昇

■経営品質アセッサーフォーラムのページ
経営品質アセッサーフォーラム(JQAA)について 道添 順一
進化する「JQAAイベント」開催! 加藤 友成・田原 浩・渋谷 照夫・杉浦 正宣
ポジティブ心理学で経営品質を高めよう 〜「よしやるぞ!の経営革新」〜 末吉  進


アセッサージャーナル28号<販売中>

アセッサージャーナル28号の販売を開始しました。(2021年3月12日)
<目次>
■Front of View
日本経営品質学会会長/武蔵野学院大学名誉教授
コロナ禍における経営品質組織成熟度と動的組織能力(Dynamic Capability:DC) 渡辺昇
■特別寄稿
○ 調査と企画を社員の仕事にする
  MPC 代表取締役 岡本正耿
○「経営品質の難しさ」を実行しない言い訳にしていないか
 株式会社鳩山カントリークラブ代表取締役社長/日本経営品質賞判定委員 加藤重正
○ボルドリッジに学ぶ
 (グローバル・クオリティ・フォーラム)黒瀬晋
○オンライン・ファースト時代の会議ファシリテーション
公益財団法人日本生産性本部主席経営コンサルタント/ライブ講師®実践会代表 寺沢俊哉

■日本経営品質賞受賞組織の取り組み
2020 年度日本経営品質賞は大企業部門1組織、中小企業部門2組織、非営利組織部門1 組織
○株式会社肥後銀行
日本経営品質賞(大企業部門)を受賞して  笠原慶久
○社会福祉法人における経営品質向上活動の推進
~社会福祉法人からの申請が増えた理由~  薮本剛

■経営デザイン認証組織の取り組み
○2020 年度経営デザイン認証~これからの経営設計図  高橋清
○経営品質向上活動に役立つ経営デザイン認証  三宅邦之
○JQAA 特命理事企業探訪:株式会社ロードサポート新潟
 これからの経営設計図による経営の見える化  五味由紀子

■地域経営品質賞受賞組織の取り組み
○新日本ビルサービス株式会社(2019 年度埼玉県経営品質賞受賞)
埼玉県経営品質賞6 年間の挑戦で、変わったこと、変わらないこと  関根一成
○株式会社現場サポート(2019 年度鹿児島県経営品質賞受賞)
主体性が育まれる風土創り  福留進一

■地域経営品質協議会だより
埼玉県経営品質協議会が推進する「組織プロフィール」活用事例  高橋清
鹿児島県経営品質協議会が推進する「組織プロフィール」活用事例 二宮直光

■JQAA だより
「JQA セルフアセッサー交流会・第1 回Web 分科会」開催される!  加藤友成・田原浩
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アセッサージャーナル27号<販売中>

アセッサージャーナル27号ができあがりました。

主要記事配下の通りです。

■特別寄稿
MPC代表取締役 岡本 正耿 革新の思考、管理の思考
西精工株式会社 代表取締役社長 西 泰宏 かくして思考は現実化する

■日本経営品質賞受賞企業の取り組み
・トヨタ部品茨城共販株式会社 社員が元気になる会社づくりを目指して
・株式会社九州タブチ 日本経営品質賞(中小企業部門)を受賞して
・株式会社スーパー・コート グループシナジーを活かしたリーダーシップ

■JQAA 特命理事企業 訪問
・経営デザイン認証~これからの経営設計図~
・株式会社エイコー 経営デザイン認証取得後の活動
・株式会社セキュリティリサイクル研究所 これからの経営設計図による経営の見える化

■各地域協議会だより
3年目を迎えた「福島県経営品質研究会」の歩み

■JQAA 活動
鹿児島訪問研究会(㈱九 州タブチ) 小田川賢太朗
JQAセルフアセッサー交流会 加藤 友成
九州生産性本部「創造 のひろば」寄稿 道添 順一

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アセッサージャーナル26号<発売中>

 
本号は「”こころ”が通い合う『働き方改革』実現企業」と題し、自社の存在意義、目的、お客様に提供したい価値などを全社員で話し合いながら「働き方の本質の追求」を行っている企業にご登場いただきました。
共通点は、トップが夢を語り、それに社員が共鳴、全社員が質の高い対話を重ねることによって、一人ひとりが目標を持ち、自らが考えて行動するように変わり、それが高い顧客満足、社員満足、業績向上に結びついていることです。
アセッサーの方はもちろん、経営品質活動に少しでも興味のある方には是非読んでいただきたい内容です。

<アセッサージャーナルについて>
アセッサージャーナルはセルフアセッサーと経営革新に取り組む人のための情報誌です。 経営品質を向上させるために様々な取り組みをしている会社(組織)、それを支援している地域協議会に、独自性の高い取り組みやノウハウをご紹介いただきます。 また、時代の移り変わりに即して、経営、戦略、生産、マーケティングなども刻々変化しましが、時代の先端をいく新しい考え方や理論を著名な先生に依頼しまとめていただいています。 知識・実践、両方を兼ね備えたまさに「使える情報誌」です。ぜひご購読ください。

→ 目次と記事紹介

【ご購入は下記から】
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その他のお知らせ

鹿児島訪問研究会報告1〜天空の森

経営品質協議会 10月月例会 鹿児島訪問研究会報告

経営品質アセッサーフォーラム 理事
経営品質協議会認定セルフアセッサー
小田川 賢太朗

鹿児島訪問研究会参加の背景

 2019年度の経営品質アセッサーフォーラム(以下、JQAA)の活動では、今までにないアプローチでの活動を試すことで、全国の経営品質協議会認定セルフアセッサー(以下、セルフアセッサー)のみなさんを支援できるようにとの企画をしました。その一つが経営品質協議会のベンチマーキング行事に参加し、地方のアセッサーとの交流を行うことで、地方のアセッサーの活性化にJQAAが貢献する方法を探ることでした。

 今回、筆者はJQAA及び勤務先である株式会社Phone Appliの支援を受けて、経営品質協議会(以下JQAC)が主催し2019年10月28日(月)・29日(火)に開催された「鹿児島訪問研究会」(以下「この研究会」)に参加し、次の3つの組織を訪問してベンチマーキングをする機会を得ました。

  • 天空の森 (雅叙苑観光有限会社)
  • 株式会社現場サポート
  • 株式会社九州タブチ

 この研究会には全国各地から企業経営者、日本経営品質賞の審査員経験者、セルフアセッサー、推進者。加えて、サービス産業生産性協議会(SPRING)との合同開催でしたので、そちらの活動のメンバーを含め14名が参加しました。またJQACとサービス産業生産性協議会から事務局2名が参加しました。

ベンチマーキングにあたって

 経営品質の活動に携わっているアセッサーのみなさんにとって「ベンチマーキング」という言葉はなじみのある言葉であると思います。経営学事典でなくとも一般的な辞書にも掲載されていて「業界の優良企業の経営事例から目標とするベンチマークを設定し、それとのギャップを埋めるために業務改善を行う」(大辞林)となっています。ベンチマーキング活動のやり方は様々で、書籍やビデオを教材として行う方法もありますが、現地を訪問してのベンチマーキングが効果的です。

筆者の考える現地を訪問してのベンチマーキングの利点は次の三点です。

①文字や写真で得ていた情報が、訪問により映像化され、体験に変わることで理解が深まること
②その組織の社員とふれあえることで組織風土を感じ取れること
③一緒にベンチマークする仲間との意見交換により同じことを見聞きしたときの感じ方の違いを知ることができること

それでは一つ目の訪問先、「天空の森」から報告します。

企業概要

天空の森 (雅叙苑観光有限会社)
「リゾートとは『人間性回復産業』である」という信条をもつ田島健夫氏が鹿児島県霧島市で経営するリゾート施設。東京ドーム13個分という敷地に温泉付きのヴィラがわずか5棟。一泊の宿泊料金は30万円〜50万円。

ベンチマーキングの概要

  • 天空の森内レストランで昼食。
  • 徒歩とカートで広大な敷地に点在する各施設を散策
  • 田島氏講演
  • 社員の方も交えて質疑応答

天空の森のコンセプト

 天空の森について資料やWebサイトを見ての筆者の第一印象とそこからの疑問は次の通りであった。

  • 宿泊料が高額なことから高級リゾート施設のようである。どのような高級な施設やレベルの高いサービスが提供されるのだろうか。
  • どうして人気なのだろうか?いや、きっと人気なのだろうが何がお客様を惹きつけるのだろうか。
  • ターゲット顧客は誰なのだろうか。なぜ鹿児島なのだろうか。
  • 経営者はどんな人物なのだろうか。

 それでは天空の森と創業経営者の田島氏について見ていこう。

1945年鹿児島県牧園町妙見温泉の湯治旅館に生まれた田島氏は、一度銀行に就職するも、1970年に懐かしいふるさとを再現した「忘れの里 雅叙苑」を創業する。当時、団体客を中心とした一夜限りのどんちゃん騒ぎスタイルが多勢だった旅館業態に疑問を感じ、昔ながらの民家に宿泊する体験を提供するような形態の「忘れの里 雅叙苑」を開業したのだ。自分が鹿児島に戻ってきたときに感じたように、皆ふるさとが恋しいとどこかで思っていて、この体験をしたがるだろうとの予想が当たりヒットした。その後露天風呂付きの客室を世の中に広めるきっかけになり、温泉宿のトレンドを作ったとも言われている。一方で、この業態は半年で瞬く間に他社にコピーされてしまった。そこから田島氏の唯一無二、オンリーワンのリゾート施設を作るジャーニーが始まった。

 そのコンセプトを列挙すると次の通りである。

  • 豊かさ(豪華、すごい、お客様は特別)ではなく幸せを提供する舞台を提供し、美しい・きれいと涙ぐむシーンを作ること
  • 地域のショーウィンドウになる 観光産業は地域の伝統産業であるはずで、利益が地元に還元されること
  • 空港から20分以内で周りに人工構造物がなく、良質な水と温泉があること

 これらのコンセプトを元に、自分の仕事は何かを見つめたところ導き出されたのが、「リゾートとは『人間性回復産業』である」という信条で、田島氏は人間性の回復とは「天空の森に来てもらうことで人を裸にすること。生物学的なヒトとなり、立場を捨てた裸の状態にしてしまうこと。」だと述べている。

 田島氏は、1994年から25年の歳月をかけて何もなかった森や竹藪を開墾してジグソーパズルを作り上げてきたものがようやく形になってきたと述べている。天空の森には世界中から多くの著名人が訪れているそうである。彼、彼女らの求めているものは、天空の森で得られる立場を捨てた裸の状態なのであろう。ある世界的ブランド企業の創設者は「ここは未完成だからいい。僕のブランドの時計も未完成だ。」と述べたという。

 天空の森は豪華観光列車「ななつ星in九州」のツアーで唯一列車を降りて宿泊する施設となっている。実は約10年前に田島氏がJR九州に豪華観光列車を走らせようと持ちかけたところからの流れなのだそうだ。九州全体の地域のショーウィンドウとしての役割も担っているのである。

 筆者の第一印象から浮かび上がった疑問と訪問して分かったことを比較すると次の通りになる。

疑問 訪問してわかったこと
どのような高級な施設やレベルの高いサービスが提供されるのだろうか 高級・豪華といった尺度ではなく「幸せ」を感じてもらうための施設やサービス
なぜ人気なのか 「人間性回復」をすることができる空間・時間を得られる
ターゲット顧客、なぜ鹿児島 ターゲット顧客は世界中。鹿児島に求めるものがそろった土地があったから。
経営者はどんな人物なのか 田島健夫氏は、真の観光産業を作り、お客様の「人間性回復」と、地域社会への還元を信条として事業を行っている

 天空の森の訪問では田島氏の講演だけでなく、大半の施設の中に入って見学できたことで天空の森が提供している施設やサービスを経験によって知ることができた。

顧客価値創造の連続 〜顧客価値の創造は引き算である〜

 田島氏は天空の森を作ってきた課程を「顧客価値創造の連続」であったと述べていた。その中で田島氏が見いだしたことは次の通りである。

  • 顧客価値は歴史とともに動いて変化するものである。
  • 付加価値とは、足すことではなく引くこと。戦闘機に無駄なものがついていないように。
  • 勝つのではなく、どうやったら自分たちが生き延びられるかを常に考えた。「僕の中に勝つはない」別の言い方をすれば、「当たる確率を上げるよりも、当たらない確率を下げること。
  • 原価を下げるな、上げろ

経営計画は無い、決算書は10年に一度がいい

 このような経営をしていて、それはどのように計画されているものなのか、そして結果はどう振り返っているのか気になるところである。田島氏によると、収支計画ありきで行っていないため、経営計画書はないとのこと。数え切れない失敗もしてきている中で今があるのは、良い銀行と巡り会えたからこそであるとのことであった。「決算書はできれば10年に一度作文形式で提出する程度にしたい(笑)」と考えているそうである。

人材採用・育成

 一代で天空の森を築いてきた田島氏。田島氏の信条に共感し、天空の森で働く社員はどのように採用しているのだろうか?田島氏によると、次の通りだそうである。

  • 採用するのは誰でもいいと思っているが、中々ここ鹿児島まで来てくれる人はいない
  • 最大の弱点を最大の強みに変える発想で「お金がない、ではなく、お金じゃない」ものをしっかり提供したい。例えば、仕事に誇りと責任を持って、独立できるレベルにまで高めること。やってることがすごいことなんだぞというプライドを持たせること。例えば、ソムリエ勉強中の社員でも何十万円をするワインを扱えるなど。
  • もちろん、給料をどこよりも高くしたいとも思っている。仕事の空きを待つ行列ができるようになりたい。
  • その人の持っているものを見抜いて、それを活かせるステージを作ってあげるのが経営者の仕事
  • スタッフの行動にルールはなく、自分たちで決めている。放牧型である。それでも成り立っているのはお客様と接していてどうすればお客様の幸せにつながるかを考えているからと考えている。
  • 後継者育成について、血でつなぐ必要は無い。哲学を継いでくれる人が欲しいと考えている。

ベンチマーキング

 ベンチマーキングに行った我々研究会一行は、田島氏は他のリゾートをベンチマークしてみたのか聞いてみた。すると田島氏はこう述べた。

「僕は同業のホテルや旅館に行ったことがない。旅にも行かない。」

ベンチマーキングのレポートを書く立場の筆者としては、その回答に一瞬面食らったが、田島氏の定めたコンセプトや信条を追求するとき、他社との比較することに意味がないことはすぐに合点がいった。なぜなら他と競争することは一切していないからである。あくまで自分たちが信条とするリゾートを作るかを進めているだけで、他社が何をしているかは関係がないのだ。

まとめ

 読者は既にお気づきかもしれないが、天空の森という会社も、田島氏も経営品質のフレームワークを用いて事業を行っているわけではない。ちなみに今回はサービス産業生産性協議会(JCSI)事務局の加藤氏がつないでくれたご縁で、同協議会とJQAC合同のこの研究会による訪問が実現したとのことである。そんなわけで天空の森はこの研究会の訪問先の三社の中では唯一経営品質のフレームワークを用いていない企業だったわけであるが、「引き算」による顧客価値創造をどのように行ってきたかが筆者にとってはとても印象に残った。また人材育成の面においては、経営品質賞受賞企業で聞かれるような、「仕事に誇りを持ってもらえるようにする」「その人の特性にあった仕事を用意する」といった共通項が見られた。

 他にもたくさんのことを聴くことができたのだが、それはまたの機会に譲りたいと思う。

見学の様子

昼食会場だったレストラン
野菜は敷地内の畑で取れたものを、オリーブオイルも地元産のものを使用。
レストラン脇のテラスからの風景視界いっぱいに緑が広がるように工夫されている。しかし手すりがないと建築上許可が下りないため、下側にもスペースを設けて底に柵を設置している。(次の写真参照)
「段々畑」と「天空の川辺」
敷地内を移動するカートは、軽ワンボックスを改造したもの。川の岩場を走行して案内してくれ非日常的な体験をすることもできる。
5つあるヴィラの内の一つ。各ヴィラ同士は離れていて、5組のお客様が顔を合わせることがないように配慮されているとのこと。ヴィラに備え付けられている露天風呂にも裸のまま数十メートル歩いて行くのだそうである。
一番大きなタイプのヴィラ。リビングルームとベッドルームが別棟になっている。
田島氏による講演の様子。普段講演をすることはほとんどなく、見学も受け入れていないという。今回の訪問研究会はとても貴重な機会であった。
田島氏と記念撮影する筆者

※記載内容は取材時のものです。

2020年2月16日
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